2021.6.17 蒼茫(そうぼう)

ご無沙汰しすぎておりました。すみません。もういい加減更新しませんとね。元気です。
ただちょっと体調を崩しておりました。1月には突然、蜂窩織炎(ほうかしきえん)になりました。爪の傷も虫刺されも見当たらないのに左足の膝下から足首、指先まで見事に真っ赤っかでパンパンに腫れました。えー、人の足ってこんなにも腫れるんだってびっくり。熱いし痛いしで約二週間ベッドで注射三昧でした。水虫もないし外出も一切してないのに。変なのー。
そんな余計な病気?ケガ?がようやく癒えて、さあまた普通の生活に戻そうねというときに、今度は誤嚥をし、特に4月中旬から5月にかけてはほぼ毎日痰吸引でとうとう禁食の診断が出る始末。長らく使っていなかった胃ろうからの栄養摂取とベッド三昧。う~む、天井ばっかり見てました。
で、6月。んー、週の半分はまだベッドで胃ろうは毎日。少しずつ口からペースト状の食事も摂り始めましたが、僕の咀嚼力や嚥下力は戻ってくるのだろうか。

大きく息を深く吸って目を閉じる。落ちて行く静寂(しじま)の中で心の奥底をさがす。底にゆっくりと降りきったらそっと瞼を開ける。
僕は小さな小舟に乗っていて真っ暗な闇の中に浮かんでいる。辺り一面、もやがかかり空には星がひとつも見つけられない。僕はオールを持って漕ぎ出すけれど、どこを向いているかも分からず、そもそも少しでも前へ進んでいるのか止まっているのかさえも分からない。

どれくらいの時間が経ったのだろうか、ぼんやりとした洋燈の灯りが僕の背後から近づいてきた。
かいを漕ぐ音が僕の横を通り過ぎる時、洋燈の中に男の顔が見えた。男はぐったりと疲れた様子で今にも崩れ落ちそうに見えたが、かいを漕ぐ手は力強くその目は何を疑うこともなくただ真っ直ぐに前だけを見つめていた。
男が通り過ぎた後、僕は自分の周りが洋燈をぶら下げた小舟たちに囲まれていることに気付いた。はじめのうちは遠くにぽつんぽつんとぼんやりと浮かんでいた灯りが、霧が晴れる頃にははっきりとその輪郭を現し、そのオレンジ色の灯りが何百隻いや何万隻も同じ方向に進んでいることが分かった。それぞれの舟を漕ぐ人たちは皆何かの痛みを抱えて何かの苦しみや哀しみを背負っているように見えた。けれど、彼らの目は澄んでいて絶望感のようなものは微塵も感じ取れなかった。皆真っ直ぐ前だけを見つめ休むこともなく腕を動かし続けていた。

いくつかの舟が僕を追い越して行った後、彼らが起こした波が僕の小舟をちゃぷんと揺らした。僕は慌ててオールを握り直した。ずっと自分のことしか考えていなかった僕は周りのあまりの景色に絶句した。
ふと空を見上げると、もやが晴れたそこには満天の星たちが輝いていた。その星たちが海面に反射しているのかと錯覚するほど、僕の周りをぎっしりと取り囲む灯りも、海面いっぱいに静かに瞬いていた。もうそこは宇宙だった。

ようやく水平線が白んでくるともう洋燈を点ける舟は一隻もいなかった。
朝陽がつくる白い光が凪いだ海をどこまでも果てしなく青々と染めた。
明日と永遠の長さは同じ。未来は遠い先にあるのではなく、踏み出す足跡の続きにしか存在しない。
今日を生きること―。
僕はオールを強く漕ぎだした。

僕の悩みなんてたかだか。ちゃんと前をみなきゃ。蒼茫たる海はまだまだ続いているのだから。

2021.6.17 蒼茫(そうぼう)” に対して6件のコメントがあります。

  1. もっちん より:

    更新有難うございます。足の腫れ痛みが引いて良かったです。(^^)/

    1. kta4 より:

      まいどです。
      ご無沙汰しております。もっちんもお元気ですか。
      コロナ落ち着いたらまたお会いしましょう。
      ご連絡ありがとうございました。

  2. 小俣 より:

    ブログ更新ありがとう😃
    蒼茫たる海は続いているかぁ
    ヨッシャ俺も頑張るか!
    また勇気を貰ったよ👍

    1. kta4 より:

      ご無沙汰~。
      いつもありがとう。
      深く考え過ぎず無理せず過ごしてね。

  3. たけし より:

    久々の更新やね。
    暫く会えない間、大変やったみたいやけど、更新があって、ひと安心です。
    会える日を楽しみにしてるよ~。

    1. kta4 より:

      ご心配かけました。筆不精やからねえ。ごめんなさい。
      いつ会えるやろう。楽しみにしてるね。

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