2010.9.2 逝った夏

くるくる かざぐるま見ないね
ちりんちりん 風鈴も見当たらないね
となりの塀まで 打ち水をかけた
わたしは今も オルゴールのふたをあける
ひもで吊ったくじ引きのイチゴ飴 きっと今引いても当たらない
誰かの夢に希望を見ても それは僕のものじゃないんだし
鏡に映るわたしは 下を向いて舌を出す
土間の向こうの引き戸を開けると 裏山までずっと田んぼが見えた
連子窓があった 千切れた光に 埃が揺れていた
夏が逝った
夕立が降る 瓦屋根に斑点が広がる 町が煙る
すべて どこかへ流れていけばいいのに
心を忘れていないか
僕は僕なのか わたしはわたしなのか
昨日の続きが今日だとしても 今日は明日のプロローグじゃない
雲が破れて 真ん中にくりんと穴が開いた
あなたは僕を知っている でもわたしはわたしを知らない
ぷつんぷつん 針と一緒に埃が回る
わたしは黒いレコードをじっと見ている 僕は足かせを見ている
罪は消せるのか 砂漠の中で空をみる
罰なのか 罰なのだろう
報いなのか そうなのだろう
花が枯れる 茎が折れる
もう花びらは開かない 二度と歩けない
ぽきんぽきん 神さまが僕を千切る
わたしの手はもう伸びない
まだ夜が来ないけれど 線香花火に火をつけた
まだ空が明るいのに 僕の花火は消える
コスモスは 千切れたわたしを空に運ぶ
鰯雲が並ぶ きっと誰かのいのち
ゆらりゆらり 陽炎が子供たちと戯れる
蜃気楼の中でもいいさ 息を切らして 走ってみたい
失くしかけている想いはないか
あなたが動ける間 あなたらしくいてください

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