2010.3.27 小窓

キッチンの横にある小窓から空の様子が分かります。
窓はスリガラスなので実際の景色はもちろん見えません。でも晴れた日なら空の青色が伺えます。僕は車椅子に座り、キッチンの換気扇を回し、煙草を喫いながらその窓の向こうのぼんやりとした空を見上げます。

ふと、思います。窓の外はマンションの廊下なので防犯上の格子が取り付けてあります。まるで囚人みたいだな。車椅子から立ち上がることができないので、おもちゃのマジックハンドを使って換気扇のスイッチを入れます。たばこに火を点けると僕は小窓を見上げます。今日は晴れなのかな。

もちろん、ベランダ側に行けば空は大きく見られます。玄関を出ても。でも、僕はキッチンの横の小窓が好きです。牢屋に閉じ込められた小さな自分。ぼんやりとしか外の景色がわからない。現実ではないぼやけた世界。きっと、外の世界は夢の世界。病気など何もない世界。

少しずつ病気が進行していることが分かります。換気扇のスイッチを押すためにマジックハンドを持ち上げる腕が辛くなってきました。以前なら片手で持ち上げられたのに今は両手でしか持ち上がらない。たかだかプラスチック製のおもちゃのマジックハンドなのに。
いつか寝たきりになることが確実と思うと途方に暮れます。いっそこのまま今のまま、光を消してしまおうか・・・。

でも、小窓から伺う外の世界は青色。雲ひとつない空が広がっているのか。いつか-。奇跡が起こって進行が止まるかも知れない。生きてゆこう。でもまた明日、ベッドから起き上がる時に途方に暮れる。動かない身体に心が折れる。小窓の前に座って溜息しか漏れない日がまた来る。
その繰り返し。くるくる回る。ふ~。どこへ向かっているんだろーなー。

春の木漏れ日は気持ちがいい。明日は小窓ではなく、外へ緑を見にいこうか-。

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