2010.11.22 泡沫

ずっと白い空が続いています。遥か向こうを窺っても、どこまでも冷たい空ばかり。街も人も薄く霞んでいるよう。茶色い秋はどこへ行ったのだろう?

そういえば、まだ枯葉を踏んでいないなあ。
ガサガサと乾いた音が心地いい。普段は人の姿を見て、その人が走っているのか歩いているのか判断します。でも秋は少し違う。枯葉を踏む音でその人の様子が分かります。僕が俯いていても、すれ違う人の足音で、その人が急いでいるのかどうか分かります。

みんな慌てて小刻みな音を立てるのではなく、不規則なガサガサ音だったらいいのに。子供たちがそうするように。風に転がる枯葉と追いかけっこして、ひとつひとつ踏むように。何かに急かされるのではなく、立ち止まったり振り返ったり。不規則なガサガサ音だったらいいのに。

どんなに楽しい思い出も、いつか、はかなく消えてしまう。どんなに眩しい夏も、必ず陰り消えてしまう。
僕はALSに進行する症状を書き残そうとブログを始めましたが、もう一年経ちました。随分と病は進みましたが、でも、まだブログが書けています。PCは指一本ずつでも厳しくなり、少し打っては休み休みですけれど。

知らない街へ出かけ、石畳を踏み、暖簾をくぐる。そんな旅はもう叶わない。歳を重ね、昔みたいに出来なくなることはたくさんあります。それは納得の上で、でも、ただ単純に歩き、小石につまづかないように片足をあげる。そんなことも叶わないのか。

窓の向こうに広がる借景は冬枯れの季節。枯葉の中にうずもれて行く青春。
泡沫(うたかた)か・・・。すぐに消えてしまう泡のようだとしても、何かを残せないか。形あるものが難しいというのならば、せめて、誰かの想い出の中に。儚く静かに消えてしまうものだとしても余韻は残る。

今夜は熱燗でもいきますか。そしてまたひとつ記憶が消える。そして二日酔いだけが残る。
う~む、ちょっと違う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください